図書館で見つけた本。
図書館の本のメリットは、かばんの中に入れておいても傷みを意識しなくてもいいところ。もともとやや汚れ気味だからね。

作者は精神科医でメンタルクリニックの院長。
結婚問題により心身に不調をきたした女性を多く診てきたことを示す文章がちりばめられている。

タイトルどおり、結婚と女性の心理についての本。
結婚によってアイデンティティーを得る、結婚によってそれまでの人生をリセットする、などなどを目的にして結婚に急いだ場合の落とし穴。-----なんだかこう書くと、すでに書き尽くされているテーマの焼き直しのような気もしてくるが、それなりに読める。

気になるのは、ややジェンダーを否定的に書いているところ・・・世間からの「女らしさ」の要求に縛られて自分を見失うのは、そりゃ問題なんだけど、反発しても仕方ないと思うんだな。
逆手に取って、「女らしいふり」をしたところで、自分のアイデンティティーはちっとも揺らがない。男の人に甘えたり、たてるふりして、手の内で転がすくらいのほうがうまく生きられるなら、否定することないじゃん。
身近でかっこいい女の人はみんなそう。
女を捨てている人は、仕事ができようがなんだろうが、かっこよくはない。

女らしさって、非常に曖昧な概念だ。はっきり言って個人個人の思い込みだと思う。自分をうまく表現して、目の前の相手や自分が属する集団の人達に、「おっこいつ女らしいとこあるじゃん」と好意的に思わせられたらそれだけでよい。
要は、相手の錯覚をいかに自分に都合がいいように作り変えるか、ってことだね。

女らしさの中でも、自分の美意識に合わないものは、はっきり区別しておくことが肝心。私は、「男には言っても仕方ない」と諦めて、文句や愚痴は女同士でだけ言って、我慢して自分でなんでも引き受けてしまう、っていうのがダメ。
こういうのも、イヤーな女らしさなような気がする。

ジェンダー論でも結婚論でも、何より問題は、すぐ自分を見失うことだろ、やっぱ。

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